今日のニュースで「広島の学校用PCめぐり談合か NTT西日本など14社立ち入り 公取委」というものが出ていました。
このニュースを見た方は「いまだに談合などあるのか」と驚いたのでは無いでしょうか?
しかし自治体が絡むビジネスではこう言った談合や談合までいかなくてもグレーな内容のものは今でもしばしば起こっています。
談合事件の概要
この事件は広島県と広島市でおこなわれた学校で使用するPC の入札でNTT西日本や大塚商会、富士通リースなど14社が少なくとも2013年ごろから談合を繰り返していたと報じられています。
これら14社が少なくとも数年以上前から持ち回りで入札時に受注をしていたようです。
おそらく学校で使用するPCに限らず県や市町村に納入するPC、サーバー、プリンタなどの機器について談合を行なっていたのでしょう。
入札と談合
入札というのは物を買ったり工事を発注する際に行われる業者決定の方法です。今では自治体などでしか行われていないと思います。
入札は「札入れ(ふだいれ)」とも言われており文字通り入札の際には自分の希望する金額を記入した用紙(ふだ)を箱などに入れます。そして複数の会社などの中から最も価格の安かった会社が受注する仕組みです。言ってしまえば一発勝負の逆オークションですね。
この最低入札価格を入札に参加する会社同士で事前に決めておいてどの会社が受注するのかを確定させるのが談合です。
なぜ談合するのか?
理由はいくつかありますが
①受注価格のコントロール
入札は一番安い価格を提示した会社が受注する仕組みです。そのためどこか1社が赤字覚悟ですごく安い価格を提示すると他社は受注できません。そう言った事が続いてくるとなかなか受注できない会社が出て来ますし受注する相場の価格が下がってしまいます。それを防ぐために談合を行う事があります。
②新規参入を阻止する
複数社で談合をしていれば新規参入の会社が入ってくる事が難しくなってしまいます。逆に言えばすでに談合に参加している会社は新しいライバルが来ることを阻止する事ができるのです。
③参加企業の受注コントロール
談合に参加している会社は定期的に受注できることになります。そのため長期間受注できなくなると言った不安が無くなり会社的には安定を得る事ができるのです。
談合の問題点
談合の問題点としてまずは適正な競争が行われない事で通常の価格よりも高い価格で自治体が受注してしまう事です。それによって税金が無駄に使われてしまうことになります。
また適正な競争が行われませんので先ほど書いたように新規参入業社がその競争に参加するための障壁が大きくなってしまいます。
こう言った点が談合の問題点でしょう。
入札以外の業者決定方法は?
最近は入札ではなくプロポーザルでの業者決定を行うケースが増えて来ています。
プロポーザルとはあらかじめ自治体が決めた条件(仕様と言います)に沿った形で各社が自分たちの商品やサービスがどのような利点があり他社と比較して有利な性能を持っており、自治体の要望に沿っているかを提案し、価格だけではなく機能やサービス全般を総合的に判断した上で業者を決定する方法です。
ただプロポーザルはすごく良い方法に見えますが問題点もあります。
プロポーザルの問題点
まずその商品(PCやサービスなど)の内容を詳しく知っておく必要があります。しかし必ずしも自治体の職員がそれらの内容に詳しいとは限りません。中には全く知識がなくプロポーザルの選考担当者に選ばれてしまうケースもあります。
またプロポーザルを実施する前に仕様書を作成するのですがその仕様書の骨組みは実はプロポーザルに参加する会社の1社が作っている事がよくあります。ですので事実上の出来レースになってしまうケースもあります。
まとめ
入札にしろプロポーザルにしろ当初の想定どおりに実行する事ができればとても良い仕組みだと思います。しかし当初の想定どおりに進めていくことは難しいのが現実です。
また入札などは何十年も前から使われている仕組みです。またその入札に参加する会社も地元で長年やって来た会社がほとんどでしょう。そのためどうしても癒着や不正が起こってしまいやすい環境になります。
そう言った不正を監視する目が必要ですし透明性が今後より求められると思います。
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