大阪都構想を営業視点で見てみた

営業

11月1日に大阪都構想の住民投票が行われ即日開票されました。
結果としては反対の投票が賛成をわずかに上回り大阪都構想は改めて否決されました。
この結果について個人的な感想などはありますが今回はそちらは置いておいて営業的な視点から大阪都構想の選挙までの動きを見ていきたいと思います。

そもそも大阪都構想とは?

細かい部分については書ききれませんので省かせていただきますが、この大阪都構想は大阪維新の会が橋下市長の時代から大阪の行政の形を変えることを目的に進めてきたものでした。今回の大阪都構想の目的としては大きく2つあるのかと思っています。

①大阪府と大阪市の二重行政を排除してコストの無駄を無くす
②大阪市の権限を強化して意思決定などのスピードアップを図り国際的な競争力を高める

この2つが大きな目標だったのでは無いかと思います(間違っていたらすみません) 
そして①の二重行政の排除とコストダウンについてが特に争点になっていたと思います。
しかし個人的には恐らく大阪維新の会が達成したかったのは②の行政のスピードアップを図って大阪を国際的な競争力を持った都市にしていくことだったのでは無いかと思っています。

意思決定のスピードが速くなるメリットは?

意思決定のスピードはこれからの社会で(もうすでにですが)大きな意味を持ちます。特に行政は意思決定のスピードや手続きに膨大な時間がかかってしまうのでこのスピードを速くすることの意味は大きいのです。
また権限の拡大も同時に行われますのでその時のニーズにあった対応をスピーディーにすることができます。

例えるならあなたが勤めている会社で社長の承認を得ないと進めることのできない見積もりや稟議などを部長の承認で進めることができるようなものです。そうなればスピードは上がりますしより自由な取り組みを進めることができるようになるでしょう。

営業の目から見た投票までの流れ

恐らく大阪維新の会が大阪都構想を実現したかったのは①の二重行政を排除してコストの無駄を無くす方よりも②の行政のスピードアップを実現したかったからだと思います。
しかし行政のスピードアップというのは正直私を含めた住民(私は大阪市民ではありませんが)にはわかりにくい内容です。
ですので最初に二重行政を解消してコストを抑えるという方をアピールしたのでは無いかと思います。

ここで反対派は「逆にコストが増えて住民サービスが低下する試算がある」とアピールを開始しました。また投票直前で大阪市の発表を毎日新聞が報じた内容(どうも誤った内容を大阪市が発表し毎日新聞などが報じたようですが。一部には故意に大阪市が誤った情報を流したのでは無いかという話も流れています)で大阪都構想が実現すると非常にコストが増えてしまうと報じられてしまい大阪維新の会にとっては不利な状況になってしまいました。

さらに反対派の自民党の動きにも注目してみたいと思います。

自民党は流石に国内第一党で長年選挙に勝ち続けているだけはあると思ってしまいました。その戦い方は営業的に見ても非常に参考になるものです。

自民党の戦い方のポイント①(私視点)

まず反対派は今回の争点のメインをコストが増えるのかどうかという点に持っていき徹底的に戦っていました。
そのため大阪維新の会としてもコストを減らすことができるというロジックを展開し説明して戦わざるを得ませんでした。つまり反対派の作った土俵の上で戦う必要がありました。

コストの問題は計算の仕方次第である程度数字を作ることができます。
そのためある意味水掛け論的に進めていくことができます。そして「大阪都構想が実現するとこれだけの損失が出る可能性がある」と説明する事ができます。
試算にはいろいろな要素が絡み合い計算されますので最悪のケースを計算することができます。そうして出来上がった数字を自治体サービスの低下や自治体の運営コストに不安を持っている有権者に訴えることで賛成派を切り崩すことに成功しています。

自民党の戦い方のポイント②(私視点)

次のポイントは自民党の作成したポスターです。自民党が作成したポスターは大阪の方なら見たことがあると思いますが大阪市の市章が崩れながら「日本から、大阪市がなくなる日。」という非常にショッキングなキャッチコピーで作られています。同様のイメージがるリンクを貼っておきます(https://osakar.jp/lp/

このキャッチコピーは威力が大きかったと思っています。

正直私の感覚からすると市の名前がどうなろうが実際の市民サービスや将来の動きが良くなるのであればどうでも良いのですが「大阪市」という名前に誇りを持っていたり強い愛着を持っている層にはこのキャッチコピーが刺さりました。実際にその事を強く発信していた方もいらっしゃいます。
シルク 大阪都構想否決に歓喜「本当によかった」「130年続いた大阪市残ります」

このように都構想の内容は置いておいて感情的に不安だ、大阪市という名前は残したい、と思っている層の不安を見事に煽って反対派の逆転に成功しています。

営業の手法として

営業の手法として不安を煽る(脅す)というのは非常に重要な要素です。
実際にそう言った売り方をしている商材は沢山あります。
例えば生命保険や事故保険など保険全般は不安を煽っていると言えるでしょう。
「あなたが入院したら入院費はどうするの?」
「あなたが死んでしまっても家族に資産を残せるようにしませんか?」という形ですね。

他にも健康食品もそうとも言えますし自動車の自動ブレーキシステムなどもある意味この一種と言えるでしょう。

相手の不安を煽る手法というのは非常に有効です。人間誰しも不安な要素は少しでも排除したいものです。ですので営業マンはいろいろな手法で顧客の不安要素を連想させ、その解決策を売っていくのです。

営業として活用するためのまとめ

今回の反対派の戦い方は営業にとって非常に勉強になるものです。

①コストについての戦い方

 賛成派が算定している方法とは別の手法で算定してコストが増える可能性がある事を提示。
つまり営業的に言えば見積もりの段階でライバル企業に負けていたとしても計算の仕方や見る方向を変える事で自社の見積もりが安いように見せたという事です。これは営業でも使える手法です。
例えばライバル企業がオプション無しのプランでとても安い見積もりを出していて、あなたの会社ではどんなに頑張ってもその価格を下回ることができない時、必要と思われるオプションを色々と付けて見積もりを出したり提案方法を変えることで自社の見積もりを有利に見せることができる場合があります。

②「大阪市がなくなる」という戦い方

迷っている相手、内容をよく把握できていない相手などに対して現状を変化させる事に感情論的な要素で揺さぶりをかけるというのは良い手です。

営業的に言えば例えば現在あなたの会社が既存のサービスベンダーだった場合にサービスベンダーを変更することによるリスクやイニシャルコストの負担が大きい事やこれまでの業務の運用ルールを変えなければならない事などを大きくアピールして見積もり上の価格ではなく業務の安定性などを争点として提案していくという手法です。

このように今回の大阪都構想での反対派の戦い方は営業としてみた場合には非常に良いお手本になっていたと思います。あなたも自分が営業する際にはどこかで参考にできないか考えてみてください。

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